イベントレポート 『「グローバル化社会における名門ENAの役割」~その課題と展望~』

あらゆる社会層に開かれた国際教育機関であることの重要性

ENAは、1945年の開校当時から入学試験制度をもうけています。年間約100名しか入れない最難関校へ晴れて入学後は、学生たちが経済的にも環境的にも100%学業に専念できるように全面的にサポート。そのために学生たちは学費を払うのではなく、公務員として国から給与を支給されています。ENAには裕福層が多いのではないかということから、格差をなくすために、すべての家庭環境の人たちに平等に入学のチャンスを与えるという意図のもと2009年に準備コースが設けられました。結果として、学力のレベルを落とすことなく、さまざまな社会層の優秀な学生が入学を果たしているとのことです。

ロワゾー学長からは、「日本の学生たちは優秀ですよ!」と、お褒めの言葉も

ロワゾー学長からは、「日本の学生たちは優秀ですよ!」と、お褒めの言葉も

外国の学生にも門戸は開かれていて、ヨーロッパ圏内はもちろん日本からの留学生も多く、日本はEUをフランスと共に担うドイツに次いで2番目に多い留学国です。フランスと日本は、政治経済において強い絆で結ばれているのはいうまでもなく、ENAの卒業生たちは、帰国後、行政はもちろん、さまざまな分野でリーダーとして活躍しています。

 
本日の進行役は、磯村尚徳初代パリクラブ会長。

本日の進行役は、磯村尚徳初代パリクラブ会長。
今日はゴルフを楽しまれたという初代会長。ゴルフ仲間たちから、これからロワゾー学長の講演会に行くなんて勇気があるなーと、励まされながらやってきましたと、いつもの巧みな話術で、楽しくなごやかに会を進行。ロワゾー学長しか語れないだろう” エリートの役割や課題”などについて、興味深いお話をたくさん引き出してくださいました。

海外の留学生を受け入れることで、現在鍵となっているグローバル化の中で活躍していかなければならない将来のリーダーたちに必要とされる、国家間および国際企業間の相互理解が生まれるのだそうです。

フランスで修士号を取得している60%は、なんと女性が占めています。しかし実際に、フランスの行政において責任あるポジションについているかというと、その割合は随分少ないのが現状。また男女間では16%もの報酬の差があります。女性たちが自ら進んでチャレンジし、自分の能力を主張していけるような意識がもてる社会的環境や、職場環境を構築していくのも課題のひとつのようです。この事は、国家的課題にもなっていますが、ロワゾー学長率いるENAの取り組みが功を奏してか、女性幹部が占める割合を2015年には20%、2017年に30%、2018年に40%と掲げた目標に対して、すでに2013年の時点で25%にまで達しているとのこと。この大きな結果は、ロワゾー学長に続く今後の女性リーダーたちの活躍ぶりを大きく期待させてくれるものとなっています。

 

講演の後は、学長を囲んでなごやかな雰囲気の中、40名ほどの参加者たちとともに懇親会が開かれました。時差ぼけを感じる暇もない過密スケジュールの中、女性ならではの細やかな視点で貴重なお話をたくさんいただきました。

講演の後は、学長を囲んでなごやかな雰囲気の中、40名ほどの参加者たちとともに懇親会が開かれました。時差ぼけを感じる暇もない過密スケジュールの中、女性ならではの細やかな視点で貴重なお話をたくさんいただきました。


懇親会でのロワゾー学長と磯村尚徳初代パリクラブ会長。

懇親会でのロワゾー学長と磯村尚徳初代パリクラブ会長。

神林悠介さん ENAの卒業生 神林悠介さん
この日は、人事院でのシンポジウムに続きパリクラブでの講演会にも出席してくださった神林さん。現在は、内閣府にご勤務ですが、学生時代には交換留学生としてENAに在席されたそうです。ENAでは、多くの貴重な経験をさせてもらって、帰国するのが寂しかったくらいとても充実していたとのこと。フランス、日本の公務員制度はお互い良い面、悪い面ありますが、ロワゾー学長のような方が、将来にむけてますます活躍していってくださると思うとのことでした。